筑邦土質株式会社 代表取締役
福岡県久留米市北野町高良1955-1
TEL 0942-78-3418
棚町 保典 (Tanamachi Yasusuke)
「ボーリングの匠」第23回は、福岡県にあります、筑邦土質株式会社の棚町さんをご紹介します!
筑邦土質さんは、調査や井戸掘削を専門とし、
福岡県をはじめとして九州全域、中国地方、沖縄などを中心にお仕事をされています。
とにかくお客様に喜んでもらえる仕事をすることが一番です。 と棚町さん。
それを達成するための常日頃の心構えとして、
・だぶっても報告
・スピーディーに連絡
・素直な心で相談
・綿密な打ち合わせ
と、社員へ向けての社訓が壁に大きく掲げられていました。
これを踏まえて現場へ向かう職員に対しては必ず「送り出し教育」を行っているとのこと。
仕事の内容や、これまでのいきさつ等の基本的な情報に加え、
依頼者の性格、周囲の環境、現場へ至る道路の道幅まで詳細な「お客様情報」を伝えることに努めています。
と棚町さん。
これからもお体に気をつけて頑張ってください!
記 者:これまでに苦労されたお仕事はございますか?
棚町さん:熊本県・竜門ダムで行ったコア材の配合試験ですね。
アースダム(※)の堤体を泥で固める際に、粘土と砂で締め固めます。
様々な割合で配合し、サンプルを作り、締め固め試験を実施しました。
そして最終的には最も透水の少ない配合がダムに適用されるわけです。
おそらく何百種類ものサンプルを作ったと思います。
この時は大学の研究室も交えての作業でしたので、かなり勉強にもなりました。
記 者:また、これまで心に残っている仕事はございますか?
棚町さん:先代社長(棚町さんの父親)が掘った水井戸です。
もともと大分県・玖珠の水田の水源として掘った深井戸なのですが、
自噴井戸で被圧水頭(※)が9mにも及ぶものでした。
阿蘇溶結凝灰岩(※)の下に安山岩が堆積層を形成していて、
安山岩類としてこれほど湧出量が多いのはとても珍しい例とのことで、
「日本の地下水(出版:地球社)」という本にも掲載・紹介されています。
記 者:。本日は取材のご協力ありがとうございました!
(※)アースダム
正式には「アースフィルダム」という。
堤体の大部分を土質材料(EARTH)で盛りたて(FILL)られているダム(DAM)をいう。
アースダムは多くが土質基礎の上に造られ、古くからある灌漑用のため池などはこれに該当し、数も最も多い。
堤体の大部分が土質材料で強度上の安定性が低いこと、土質材料の施工は天候の影響を受けやすく
過剰な間隙水圧の発生なども予想されることなどから、高いダムには適さず、
多くのダムが堤高30m程度までの比較的低いダムとなっている。
(※)被圧水頭
水頭圧とは、ある高さの静水が底面におよぼす圧力で、水柱の高さを「m」または「mm」で表す。
二つ以上の不透水層間の透水層中にたまっている地下水で、
大気圧より大きな圧力を有し、地上からこの層まで孔を掘った時に、
水は孔の中をのぼり、ときには地上に噴出(自噴)する。
この事例の場合、地上より9mの高さまで押し上げる圧力をもって自噴しているということで、比較的大きな数値といえる。
(※)凝灰岩
文字通り、火山から噴出された火山灰が堆積してできた岩石。
高温の火山灰が大量に堆積し、その重さと高温のために圧縮されて
粒子の一部が溶けてくっつき合い溶岩状になった岩石を溶結凝灰岩という。