株式会社 甲田工業所 代表取締役
京都府京都市伏見区紺屋191番地
TEL 075-601-1039
甲田 忠司 (Kouda Tadashi)
「ボーリングの匠」第11回は、京都府にあります、株式会社 甲田工業所の甲田さんをご紹介します!
甲田工業所は、明治36年創業で井戸掘りの先駆者としてこの業界をリードしてきています。
これまでに京都府を中心に主に井戸掘りの仕事をされております。
京都は地下水がとても豊富でまた品質もよいこともあって、その土地柄、水を使う産業が多いため、井戸の利用が非常に多い。ただ、この一帯の地層には大きな礫が多々存在し、メタル等がすぐになくなってしまうそうです。
さらにここは、日本を代表する観光地でもあり、桂川や鴨川といった河川にボーリングで使用する泥水等が流れ出ることがあれば大きな問題となるため、この取り扱い・管理には特に気を使うとのこと。
この先もボーリング1本でやっていきたいです。
また息子達にもこの仕事を続けてもらいたい。
と甲田さん。
甲田工業所様のホームページを拝見させてもらいますと、
その冒頭のオープニング画面において、
「穴を掘るだけでは井戸にならない。地下のどの水脈から水を取るかを決めるのが、
井戸掘り職人の腕の見せどころなんや」
と先代である故・甲田米次郎様の言葉が表れてきます。
その職人としてのDNAは、現社長の忠司様を経てさらにはその息子さんの代にまで、今や受け継がれています。
100年を越える歴史を持つ甲田工業所。
その4代目・5代目がさらにその歴史をつないでいきます。
これからもお体に気をつけて頑張ってください!
記 者:これまでに心に残ったお仕事はございますか?
甲田さん:2007年にテレビ局の依頼でカンボジアのクナー村というところで上総掘り(※1)にて井戸を掘ってきました。首都ブノンペンの西にある人口約200人の小さな村です。住民は水質の悪い水で炊事をしたり水浴びをしたりしていて、子供達にとっても水汲みが重労働だったのです。
村に生えている竹とパイプだけを使って井戸を掘りました。
ものすごく粘りのある竹でよくしなり、なかなか折れないのです。
ひとつの巨大な根から何本も生えている立派な竹でした。
日本のものとは種類が違うようです。
また、現地ではその竹を使って漁をしたりと、よく利用されているようです。
記 者:村の方々の協力もあり、人力だけで30メートルの井戸を掘ったそうで、
先代から受け継いだ技術でカンボジアの村がひとつ救われたことになりますね。
本日は取材のご協力どうもありがとうございました!
(※1)上総掘り
上総掘り(かずさぼり)は、掘り抜き井戸の代表的な工法。
やぐらを組んで大きい車を仕掛け、これに割り竹を長くつないだものを巻いておき、
そしてその竹の先端に取り付けた掘鉄管(ほりてっかん)で掘り抜く。
西上総地方で生まれたこの技術は、孟宗竹(もうそうだけ)と粘土、簡単な鉄の道具を使って、
地下何百メートルも掘り進み被圧層の地下水を自噴させるという技術。
上総掘りは全国に広まり、天然ガス・温泉・石油の採掘などに活用されたが、
昭和40年代には灌漑用井戸の需要減・水道の普及・機械掘りの普及などによって
人件費のかかる上総掘りは行われなくなっていった。
しかし近年、水不足に苦しむ途上国などで国際貢献に役立つ技術として、
重機を使わずに少人数で掘れる点などが世界的に注目を集めている。